top of page

こどもの症状への初期対応

発熱

 こどもの発熱は、感染したウイルスや、細菌などに対する「からだの防御反応」として起こることが多いようです。41℃くらいまでの発熱だけで、頭に異常を来すことは、まずありませんので、夜間に急な発熱があっても、通常は、翌日に病医院を受診すれば十分です。それまで、解熱剤(坐薬や飲み薬)を使用して、まず熱をさげて、水分などとらせて、様子を見ましょう。

 「熱は細菌やウイルスをやっつけるための反応だから、あまり熱を下げてはいけない!」というのは、半分正しくもあり、半分間違ってもいます。熱が高くても、比較的元気で水分もとれているようなら、無理にさげる必要はありませんが、高い熱でフーフーいって水分もとれずにグッタリしているのを放置すると、脱水をおこしたり、さらに状況が悪化します。坐薬など解熱剤を使用していったん熱を下げ、水分などしっかりとれるようにサポートしてあげましょう。ただし熱性けいれんを起こしやすいお子さんは、元気でも早めに坐薬を使用した方がよい場合が多いようです。

 よく「インフルエンザとかで使ってはいけない薬…」といわれる解熱剤は、当院では一切使用しておりませんので、その点に関しては安心してお使いください。(とはいえ、「副作用がまったくない薬」などというものはありえません。39℃くらいでも水分もとれて比較的元気そうなら無理に使用する必要はありません。)

 また夜間に病院に走るときに、高い熱のままお子さんを連れ歩くのは、熱が出てしんどいお子さんに、さらなる負担を強いることになります。病院に行く前に、まず坐薬を入れてから動き出すよう心がけましょう。病院での診察時に熱が下がっていても、医者は熱が出ているという話を疑ったりはしないはずです。

 

《夜間でも緊急の受診を要する発熱》

・けいれんを起こしたとき

 4-5歳までのお子さんは発熱に伴い「けいれん(ひきつけ)」をおこすことがあります。熱性けいれんならば、通常4-5分以内におさまってしまい、あとは意識回復して、後遺症なども残しませんが、おうちでその辺の判断は難しいでしょう。(後の「けいれん」の説明をご参照ください)

・意識がおかしい場合

 お父さん・お母さんの顔がわからない、ボーッとして痛みなどにも反応しない、わけのわからないことをいうなど、寝ぼけているわけでもなそうな場合です。

・激しい嘔吐がありぐったりしている場合

・呼吸が苦しい場合

 急激な肺炎による発熱や、発熱に伴う喘息発作、仮性クループ(急性喉頭炎)など、激しく咳き込んだり、ゼーゼー、ヒーヒーと苦しがる場合には緊急受診が必要です。

嘔吐

 嘔吐の原因は、ほとんどが胃腸炎、消化不良などで、正しく対応すれば、半日以内に吐き気がおさまる可能性が高いものです。

 頭を強く打った後の嘔吐や、けいれんや意識障害を伴う嘔吐は即刻、救急受診(レントゲンなど検査のできる救急病院に受診しましょう)が必要です。そんなきついものでなければ、夜間などは様子を見ても大丈夫なことが多いでしょう。

 

具体的対応

1.まずは絶飲食!

 基本的には、最終嘔吐から3-4時間は水分も含めて、口から何も入れない方が、そのあとのおさまりはよいようです。その間、吐き気止めの坐薬が手持ちにあれば使用してもよいでしょう。

 ここで、無理に食べさせたり飲ませたりすると、嘔吐を繰り返して、かえって症状が悪化することが多いようです。

 しかし、どうしても黙ってみてるのが「心配」とか「つらい」とかいう場合は、経口補水液(OS1やアクアライト)ならば、ほんの少しずつあげてもよいでしょう。

2.水分を少しずつ!始めましょう

 とりあえず3-4時間、吐き気がおさまっているようであれば、水分を少量ずつ開始してみましょう。飲み物は番茶やスポーツドリンク、果汁ならリンゴジュースなどが適しているでしょう。柑橘系(オレンジやグレープフルーツ)飲料は吐き気を悪化させることがあるのでさけましょう。

 量は「1時間40〜50cc」ぐらいを目安に開始するといいでしょう。最初は、それを3〜5分割して、スプーンなどで10-15ccずつあげてみてください。それで水分がおさまるようなら、少しずつ1回の量を増やして、間隔をあけていきましょう。(ペース的には1時間50ccぐらいのままでもよいでしょう。)

3.食事はあわてず!

 1日や2日は水分(糖分と少しの塩分も)のみでも、お子さんのからだに支障を来すことはまずありません。水分がしっかりおさまるようになってから、食事を始めましょう。最初は白いおかゆぐらいではじめて、吐き気が悪化しないようなら少しずつもとの食事に戻していきましょう。

 下痢もしている場合には、数日おかゆやうどんなど消化のよいものを心がけましょう。

 

 

腹痛

 腹痛の原因は単なる便秘から、腸重積、虫垂炎(いわゆる「もうちょう」)にいたるまでいろいろあり、おうちで適切な対応をするのが難しい症状です。

 腹痛が激しい場合は、基本的には救急受診をおすすめします。しかし受診前に、最後に便がいつ出たか、どんな便だったかは確認して、医師にたずねられたら答えられるようにしておきましょう。実際お子さんの腹痛の原因では圧倒的に便秘が多く、浣腸だけですっきりしてしまうことがほとんどだったりします。しかし虫垂炎などで間違って浣腸したりすると、かえって症状を悪化させることがありますので、家で安易に浣腸するのはひかえた方がよいでしょう。念のため病院で医師の確認後に浣腸するようにしましょう。

 

 

​けいれん

 お子さんのけいれんの多くは熱性けいれんであり、4-5分以内に自然におさまり、後遺症も残さず、心配ないものであるとされています。最初からそれとわかっていれば、無理に病院に受診するほどでもないかもしれませんが、それをおうちで判断するのは至難の業でしょう。また、けいれん後の意識の戻り具合によっては、脳炎などのこわい病気を疑って、注意深い観察が必要になることもあります。というわけで、お子さんがけいれんを起こした場合、救急車で、病院に救急受診するというのが基本になります。

具体的な対応

1.まず落ち着きましょう。

 たいていのお子さんのけいれんは心配ないものだと自分に言い聞かせて落ち着きましょう。

2.布団の上などに寝かせてけがをしないようにさせましょう。

 あわててだっこして走り回っておとしたり、けいれんの最中に棚の角などに頭をぶつけてけがをしないように、安全な場所に寝かせましょう。

 吐いたもので息をつめないよう、顔を横に、または体ごと横向きに寝かせましょう。舌をかまないようにと、口に指を入れたり、タオルを押し込んだりするのは厳禁です。指をかみちぎってのどにつめたりして、窒息の原因となります。

3.119番に電話して救急車を呼びましょう。

 ご家族が冷静であれば、自家用車で病院に連れて行くことも可能ですが、あたふたした状況で運転して事故でも起こしたら大変です。できれば救急車を利用しましょう。

4.救急車を待つ間に、

 体温計で熱を測って、高熱なら熱冷ましの坐薬を入れましょう。

 けいれん止めの坐薬をもっておられれば、使用してもOKです。

 保険証や、病院のカード、お薬手帳など準備は大丈夫ですか?

 待っている間に、たいてい、けいれんはおさまったようにみえますが、その後の意識状態など確認も必要なので、遠慮せずに病院に受診しましょう。

5.救急車がきたら、

 救急隊員の指示に従って、病院に連れて行ってもらいましょう。

 戸締まり・留守番への配慮も忘れないように…

bottom of page