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なつかぜ

おもに、「エンテロウイルス」というウイルスの感染によっておこるかぜひきです。
 夏に流行するので「夏かぜ」などと表現されますが、
 エンテロウイルスによるかぜひきは、実際には冬でも発生しています。
      (※)プール熱(アデノウイルス感染症)はまた別に解説します。

 

 エンテロウイルスには
 ・コクサッキーA群(1-24型)
 ・コクサッキーB群(1-6型)
 ・エコーウイルス(1-34型)
 ・ポリオウイルス(1-3型)
 ・エンテロウイルス(68-71型)
というふうに、何種類ものウイルスが属しており、それぞれにたくさんの型があったりします。毎年、このうち何種類かが流行して、それぞれに症状のでかたも一定ではありませんので、どれがどれとは判別しにくいといわれています。

 通常、そんなにこわくない病気が多いのですが、髄膜炎や脳炎を起こしやすい型が流行する年もあります。とってもきつい症状が出ることもありますので、注意が必要です。

【感染経路】

 主には、糞口感染(うんちから口へ)で、飛沫感染(咳やつばなど)もあります。
 ウイルスは、のどで感染成立したあと、胃腸で増殖して、便にまじって長期間排泄されますので、感染防御が難しい(特にプールの季節など)といわれています。
 不顕性感染(感染しても症状が出ない)が70-80%といわれていますので、感染してても全く気づかない人が圧倒的に多いようです(でも、ウイルスは便中に排出しているはず…)

急性上気道炎

 いわゆる一般的な「なつかぜ」です。

 発熱は、通常1-2日ですが、5-7日高熱が続くこともまれではありません。
 胃腸症状(特に嘔吐)を伴うことが多いのが特徴です。
 扁桃腺も腫れやすく刺激で咳もきつくなりやすいですが、肺炎に悪化することはまれです。
 扁桃腺に膿がつくことも多く、プール熱と見わけるのは、けっこう難しいです。

 

手足口病

 手足の発疹、そして口内炎が特徴的な「なつかぜ」です。

【病原ウイルス】

 主にコクサッキーA16型とエンテロ71型ですが、他の型のコクサッキーA型、B型、エコーウイルスなども手足口病を起こすことがあります。
(つまり、何回もくり返してかかることがある…)

 エンテロ71型の手足口病が流行すると、髄膜炎が流行するので要注意です。

 潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)は通常 2-5日といわれています。

【症状】

 10-20%で発熱が見られます。38℃以下のことが多く、あまり続きません。
 手足(特に手のひら、足の裏)にポツポツとできる、赤く少し盛り上がった発疹と、口内炎が特徴です。(すべてそろわないこともあります。)

 口が痛くて、食べたり飲んだりしにくくなるのが、通常一番の問題です。

 おおむね5-7日以内に自然に治りますが、
 中枢神経合併症(髄膜炎や脳炎など)には、要注意です。

【治療】

 根本治療はなく、対症療法のみです。水分がどうしてもとれない時には、脱水になりやすいので、入院点滴が必要になることもあります。

 

 

ヘルパンギーナ

 のどに口内炎ができて、けっこう「痛い」病気です。

【病原ウイルス】

 主にコクサッキーA群(2、4、5、6、10型が多い)
 春から秋に流行しやすい。

【症状】

 突然の高熱で始まり、発熱は通常3日程度続きます。胃腸症状が出ることもあります。
 のどが赤く腫れて、口内炎ができます。痛みのために食事がとれないのが一番困る症状です。

【治療】

 やはり根本治療はなく、対症療法のみです。
 手足口病と同様に、水分までとれないと、脱水となり入院・点滴が必要なこともあります。

 いろんな夏かぜのウイルスの感染(特になおりかけ)で発疹が出ることがあります。

 発熱を伴う(たいてい解熱した頃に発疹が出てくる)場合も、伴わない場合もあります。

 発疹は、じんま疹のようであったり、紫斑であったり、いろんな形ででます。
 通常、かゆみはなく、1-2日でピークとなり、数日で自然に消えます。

 

 

​急性胃腸炎

 エンテロウイルスの感染(夏かぜ)で、下痢・嘔吐・腹痛など、胃腸症状のみが出ることもあります。

 通常は軽症で、血便も見られません。

 熱や吐き気がひどい時には、髄膜炎を併発している可能性も出てきますので注意が必要です。

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